浄化槽はご家庭から排出されるし尿と雑排水を処理して、キレイな水を下流の河川などに放流することを目的とした設備・施設です。
浄化槽における水の処理方式は様々なタイプがございますが、原則的に共通しているのは「生きた微生物(バクテリア)」を利用して、有機物を分解しているという事です。
これらの生き物は「機械」ではないので、浄化槽設置場所の気候や、浄化槽に流れ込む「し尿と雑排水」の量などにより有機物を分解する能力に様々な差が生じていきます。
この「生きた微生物(バクテリア)」が正常に機能している時は、下流に放流される水の状態も良く、浄化槽からの臭いなども発生しません。
ところが、何らかの要因により機能が低下している場合は、浄化槽としての役割が十分に果たせない状態になってしまい、その結果として放流する水質の悪化や、浄化槽からの臭いの発生等、様々な悪影響の原因となってしまいます。
浄化槽の点検は、これらの事態を予防し、正常に浄化槽を機能させる事を目的として実施致します。
浄化槽の点検で実際に行う検査は以下の通りです。
<外観検査>
・使用準則をお守りいただいているかの確認
※使用準則とは、浄化槽法という法律においてお客様が浄化槽を使用する際に守っていただく必要があると定められた事項です。具体気には以下の通りです。)
①し尿を洗い流す水の量が適切であること。
②殺虫剤、洗剤、防臭剤、油脂類、紙おむつ、衛生用品等を流さない。
③みなし浄化槽(トイレのみ接続しているタイプ)には、雑排水を流さない。
④浄化槽には、工場廃水、雨水その他特殊な水を流しいれない。
⑤電気設備がある浄化槽では、電源を切らない。
⑥浄化槽の上部や周辺には、保守点検・清掃に支障を及ぼす構造物を設けない。
⑦浄化槽の上部には、その機能に支障を及ぼす荷重をかけない。
⑧通気装置の開口部をふさがない。
⑨浄化槽に故障や異常が発生した際には、すぐに浄化槽管理者に連絡をする。
・設置状況(浄化槽が水平に保たれているかなど)
・浄化槽の稼動状況
・水の流れ方の状況
・使用の状況(「し尿と雑排水」の量など)
・スカム(カス)の生成、汚泥等の堆積、生物膜の生成状況
・悪臭の発生状況
・消毒の実施状況
・蚊、ハエ等の発生状況
<水質検査>
・水素イオン濃度指数(pH)
・汚泥沈殿率
・溶存酸素量(DO)
・消毒室透視度(※消毒室:下流に水を放流する際に水の消毒を行う部分です)
・塩化物イオン(塩素イオン)濃度
・残留塩素濃度
また、上記検査を行った上で、異常が認められた際にはそれを是正し正常化することも保守点検の重要な作業の一部です。